「自分が考えたとおりだ」という人がたくさん出てくるのです。そして、パッと即物的に現実主義的反応になります。こうしたことについては、かつてベルツやメッケルといった外人お雇い教師も「日本人は嫌になるほど現実的だ。実物で見せたら、原理原則でなくて、パッとそれに飛びつく。嫌になってしまう」というようなことを言っています。オーソドックスな技術の中は硬直化していますが、「えっ」というようなところから出るのです。
最近、「ITグループ」「IT戦略グループ」などが各企業、大企業にできています。しかし、背広を着て、まともな状況では次の大ヒットは出てこないでしょう。仕方がないから、何かゆらぎを起こすような茶髪の若者を紹介して欲しいと言ってくる。そういう妙な端っこのほうから、新しいものが出てくる気がします。例えば、NASAの「火星プロジェクト」で、画像をつくっている大学院の連中は、皆そういう連中です。
江畑謙介 iモードは親指だけで送れる、一種のモールス信号なのですね。しかも、授業中であれ、葬儀中であれ、音を出さずに個人間で交信ができるという機能はすごいことだと思うようになりました。今の若い人にとっては、生まれたときから、パソコンがあって、テレビゲームが当たり前にあったのです。生まれたときからいわゆるサイバースペースがあった人と、二十歳過ぎ、つまり、ある程度人格ができてからサイバースペースというものに接した人間とでは、サイバースペースとヒューマンスペースとが共存することに対する考え方というのが全然違うのではないかと考えています。