われわれ日本人が、二十一世紀に向けての海洋国家のあり方を考える場合には、発想のフレキシビリティが非常に重要だと思うのですが、技術面で見られるようなフレキシビリティが、社会面、あるいは外交・政治面においてなぜ出てこないのだろうか、そういう疑問があります。
石井威望 技術においても硬直化の可能性が随分あります。大企業ではなかなか変えない。例えば、バンダイの「キャラクター・クラブ」の例で言いますと、それを進めたのは二十六歳の女性です。彼女は、冷遇されているグループにいて、前に同じようなことをやって失敗しまして、要するに残務整理をやっていたところでこれを提案したのですが、「まあ、やってごらん」という感じでやったら大当たりしたのです。七百万の携帯電話のうち百万だから、NTTドコモでも無視できないと思います。こういうことは、がっちりした組織の中では出てこないでしょう。企画部の提案ではないのです。
中小企業でも凝りに凝ってやっている人がいます。大抵うまくいかない場合が多いのですが、たまに当たることがあります。これは技術の面白いところで、当たると君子豹変が起こるのです。