日本財団 図書館


太田博 石井さんが言われたことの一つは、情報革命時代以前の言葉を使って言うと、「フレキシビリティ」ということだったのかなと感じています。それで、ひるがえって、わが大和民族のことを考えると、明治維新、戦後といった社会的大変動の時代には、非常なフレキシビリティを発揮して対応したと思いますが、平和時には、放っておくと社会的には非常に硬直化するという性格を持っている感じがしています。例えば、憲法も含めて法律に対する考え方、さんざん苦労して法律をつくって、いったんつくった法律はめったなことでは変えないのです。私はタイに在勤しましたが、タイ人は日本人と比べると非常にフレキシブルで、状況が変われば憲法も含めてどんどん法律を変えます。日本の場合には非常に硬直化しやすいのです。

それは、一つには日本人にはパーフェクショニズム的な性癖があって、どうもあいまいにしておけない、とことんまで詰めるという性格があるのではないでしょうか。かつて韓国に勤務した際、さる韓国人が「韓国人が逆立ちしてもかなわない日本人の特色がある。それは凝るということだ。これは寺院の建築をはじめとして、いろいろなところにはっきり出ている」ということを言っていましたが、社会的、政治的に、特に平和時においては非常に硬直化する傾向にあります。ところが、石井さんのお話を伺っていますと、技術面では必ずしもそうでないような感じもしていまして、かなりフレキシビリティを発揮して、メカトロニクスにしろ、iモードにしろ、アメリカに勝るような技術革新という成果を上げています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION