もう一つは、よく「ミスター・インターネット」と言われている村井純氏(慶應義塾大学教授)が十年位前、「ジュネット(JUNET)」(日本の学術組織を結ぶ研究用コンピュータ.ネットワーク実験。一九八四年実験開始、九四年終了)を推進しようとして、日本の産業界へ働きかけたことがありましたが、非常に冷やかな反応でした。結局、アジアのハブはシンガポールに行ってしまいました。八○年代の日本は、製造業でこれだけ勝っているからという驕りもあったのでしょうが、結局シンガポールが持っていってしまいました。彼らはネットワークや情報に関して海洋国家的です。それから、イスラエルもNTTドコモに来るそうです。
伊藤憲一(司会) 日本の政府とか、大企業とか、あるいはエスタブリッシュメントというのは、日本の若い人が何か提案しても全然冷たい。ところが、同じことがアメリカから入ってきたとか、ヨーロッパで評価されたというと、がらりと態度が変わる。長谷川さんが日本の指導者について言ったことが、社会全般にもかなりもあるのではないかと思います。