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[自由討論] 伊藤憲一(司会)、長谷川和年、石井威望、太田博、江畑謙介、畑恵、今野修平、高島肇久、遠藤浩一、高瀬康夫、秋元一峰、山田寛

 

伊藤憲一(司会) 石井さんの提起した問題をどう受けとめるかということですが、海洋国家構想というものを一昨年、昨年と考えてきて、十九世紀的な海洋国家のイメージを今議論してみても、ほんとうの我々が追いかけている問題の答を得ることにならないという状況があるわけです。この状況というのは、海洋国家構想自体が「臨界状態」に入っているということではないかと考えるのです。

それに伴って、当然「ゆらぎ」が生じているわけでございますが、二十一世紀を迎えて「臨界状態」に入っている海洋国家構想の「ゆらぎ」をどのように吸収し、どのように活用していくか、それによって「二十一世紀の海洋国家構想」という言葉を借りて、実はわれわれが論じたいと思っている日本の方向感覚というものを探る手がかりが得られるんではないか。私はそんなふうに受けとめさせていただいたわけです。

 

長谷川和年 日本国の生きる道として、少し古い定義かもしれませんけれども、海洋国家日本の一つのモデルとして、シンガポールが参考になるのではないでしょうか。アジアの小さな国ですけれども、シンガポールはその時々の理念、政策意図を持ち、結果的に見ますと、予定調和的に島国から海洋国家に発展しつつあるいい例ではないかと思います。

 

 

 

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