燃料を送ってきたと思ったら、ビスケットが来た。どこか必ずやられるという状況であった。この辺から本格的にサイバーフォースのほうにだんだんシフトしていった。海から始まって、先ほどから話しているような背景で国家的なことを考える場合には、最終的にはウェブやインターネットのようなネットワークにまでいくわけである。
五. 複雑系の理論と新しい海洋国家
新しい海洋(i海洋を含めて)を考えるとき、複雑系の理論が、一九七〇年代から登場してきていることに注目しなければならない。これはゆらぎとか、フラクタルとか、カオスとか、バイファーケーション(分岐)とか、目新しいキーワードがリードし始め、八○年になるとパソコンが普及して、インターネットが後半で出てきて、本格的にこの新理論の支配する世界が始まる。東京大学工学部でフラクタルを教え出したのは、大体八○年代終わりごろで、大学院の教科書で使い出した。実態のほうがフラクタルにしろ、カオスにしろ出てきたから、それに対応するリテラシーの勉強をしていないと不適応を起こした。
例えば「臨界状態におけるゆらぎ」というのも、パフォーマンスがいい状態になっていくと、ゆらぐ。全体としての効率を上げようとすればゆらぐわけで、ゆらぎをカバーできない場合には最適になれずロスする。