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日露戦争の勝ち過ぎた後遺症というのか、大艦巨砲中心が根強かった日本の場合、その切り替えが遅れたため、戦艦をつくり、海軍兵学校出で一番いい人材を戦艦に配したが、ほとんど大砲を撃たないうちに沈んでしまったのである。戦略的には残念な結果だったが、ともかく制空権のもとに制海権は入ったのである。

湾岸戦争では、それがステルス航空戦となり、F-117Aが三%ぐらいの航空兵力のウエートで戦果の四五%ぐらいをカバーした。しかも、一機もやられなかった。これはパーフエクトゲームであり、(飛行機の機体が小さな小鳥ぐらいの大きさにしかレーダーにとらえられない)ステルスが工ースとなった。今、レーダーにとらえられればミサイルの追跡はかわせないが、見つからないからどうしようもない。次のF-22もステルス性能が相当高い。空気力学的な性能にステルス性が加わり、情報面で存在を隠されたらどうしようもない電波的な制空権になった。

その結果、次に電波とか情報通信が主な問題になる。一九九七年に「エリジブル・レシーバー97」というアメリカ軍がネットワークの中でハッカーを使って攻撃させたテストを実施した。たしか、三十六人のハッカーが攻撃したのだが、全機能が麻痺してしまった。司令部を攻撃するとか、戦闘機を攻撃するとか、それ以外にも、燃料のコード名を他のものに変えてしまうとか、そういうことをやった。

 

 

 

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