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例えば、米国の海兵隊はオレンジ計画において島しょ作戦を一九二〇年代から立案・検討している。だから、一九四〇年代の二十年ぐらい前から、上陸用舟艇を使ったりしている。そういうのが海兵隊の継続的なドメインの再定義である。だから、彼らは飛行機はもちろんのこと、今何でも持っている。海といっても、あまり分けないほうがいいのではないかと言った一つの理由がここにもある。陸だけであれば陸軍のほうがいいが、ちょうど海岸みたいな境界的ところでの上陸作戦では、海兵隊が非常に強かった。

また、明治初期に「陸蒸気」という言葉があったが、これを見ても蒸気船が海から陸に揚がったものという海兵隊的な意味合いで鉄道を定義している。日本の場合面白いのは、馬車利用の時代を飛ばしていることである。馬車時代がほとんどなく鉄道が引かれ、陸蒸気となった。軍隊においても、モルトケ軍略において鉄道をフルに使おうとしたわけで、この辺で海洋から始まった海国が陸へ広がっていった。同時に通信も発展し、なぜ西南戦争で官軍が勝ったかという理由の一つには電信があった。電信はものすごいスピードで列島を全部をカバーした。鉄道も結構速かったが、電信のほうがずっと速い。そういう意味で、郵便局、電信、鉄道というのが近代国家のべースになった。

また、太平洋戦争では、クラシックな制海権というのが決定的に変わった。つまり制空権をとられたら、制海権は存在し得なくなったのである。

 

 

 

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