これは、大英帝国が大賞金をかけて漸く実現したわけだが、オン・ボードというのは難しく、荷酷係数が大体一けた上がるのである。つまりそれは、机上テストで成功した努力の大体十倍の手間をかけないとうまくいかないということである。だから、荷酷係数から見ると、けた違いにきびしい環境に耐えられる技術が海洋の技術である。
これが航空機になると荷酷係数は百倍になり、二けた違う。さらに宇宙になると、一千倍違うというぐらい技術のランクが違う。だから、宇宙開発では集積回路(IC)ができることになる。半導体にしないと、真空管ではとてもあれだけの加速度に耐えられない。半導体ICが開発されると、逆にその荷酷係数が非常に強いから、地上において何にでも使える。真空管からずっとやってきた私などは、ICのときにはほんとうにびっくりした。真空管に比べると信頼性で一〇の五乗倍ぐらいジャンプしたのである。
それから、コストもサイズも小さくなった。これも一〇の五乗分の一くらいになった。結局、一ビット当たりのコストが十万分の一ぐらいになったのである。それで機械文明が変わるのは当然である。日本の場合、それを非常にうまく工作機械と結び付けた。それはメカトロニクスという技術で、ロボットもその一例である。一九七〇年代後半に開発に成功し、八○年代にはフルに開花してきたから、マニュファクチャリングで世界無敵になったのである。