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三. 海とITの関係史

 

ゆらぎとか、未知とか前方視界不透明というのは、海の一つの特色だと思われる。そういうときには、不確定性をカバーするために情報の収集ということがどうしても要る。イギリスが七つの海にまたがる大帝国を支配するとき、通信にものすごく注力した。例えば、マルコー二の無線装置は、イギリスの艦隊が一番最初につけたものである。海底ケーブルもイギリスとアメリカ新大陸を結んで実用化が図られた。これは技術的に見ると相当強引で、ドーバー海峡での成功の次に大西洋で試みたのだが、もちろん当初は大失敗した。

とにかく、そういう荒っぽいことをやるのが人類の技術開発のフロンティア・スピリットかもしれない。だれがやってもわからない世界がフロンティアであり、それだけゆらぎや不確定は大きいのである。IT自身の未来もわからないし、ITがゆるがしている社会もまた情報が必要な未知の部分を広げている。

「海と情報」との関係においても、本質的に情報が必要な中で、技術的にそれをどう実現するかという問題がある。理論的には、荷酷係数(Severity Factor)から見た“オン・ボード(on board)”の問題が一つの焦点である。オン・ボードとは、車両の上に載せるとか、船の上に載せるという意味だが、クロノメーターという時計でも、オン・ボードができて初めて経度がはかれるようになった。

 

 

 

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