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パソコンを三分かかって起ち上げて、「おはよう」で落とすなんてことはだれもやらない。しかし、昨年ぐらいから、カットされてきた部分の復活が予想を上回って起こってきて、日本の一つのかなり大きな特色になってきた。

もう一つは、指の使い方が変わったことである。今までは入力に十本の指を使っており、親指には小さな役割しかなかった。しかし、携帯電話ではテンキーのキーボードを親指だけで毎分五十字ぐらい入力できる。お箸を使う民族のためか、とにかく親指の動きがいい。このように入力のキーボードが変わったことは大きく、また、キーボードという概念とかパソコン、インターネットという定型がガラッと変わったという面でもショックが大きい。私もヒューマン・インターフェースについていろいろ基礎的実験をやってきたが、親指の実験はやっていなかった。しかも、片手に持ってできるということは、もう一方の手があいたというわけで、これも大きい。両手を使うナイフとフォークと違って、箸は片手で持ち、他方の手でほかのことができる。両方使うような入力方法に今まで慣れ切っていたが、実は一つのオルタナティブにすぎなかったのであって、それとは全く違う入力法があったのである。

 

 

 

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