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これも今言っていることなので、今後どうなるかは全くわからない。しかし、昨年と変わったことは明らかで、世界全体が激変中である。逆に言うと、ものすごいチャンスもあるし、ものすごいリスクもある。

マイクロソフトの独占が問題となっているが、パソコン自体がこれからそんなに使わなくなるという傾向にある。事実、iモードが出てきて、私の周りにいる若い人は、今やメールの七割方がiモード利用になり、パソコンを起ち上げてメールを打つのはマイナーになってしまった。私の周りにいる学生というのは、大体十年ぐらい(私は東京大学から十年前ぐらいに慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスに移り)徹底的にコンピユーターばかりやっている学生を育成した結果の人々である。彼らはパソコン、特にノートブック・パソコンを持ち歩いていたが、メールはiモードを利用するようになり、どうしても長い文章やソフトをつくったりするときはパソコンを使っている。パソコンのウエートが変わったのである。

パソコンは起ち上げるのに最低一分間かかるが、iモードのほうはつなぎっぱなしで、一パケット当たり○・三円なので、若者たちの大部分は何かつまらない交信ばかりやっている。「おはよう」とか「寒いね」とか「帰ろうか」とか話し合っているのである。その人間的会話というか、エモーショナルな場が醸し出されてくるというのが、iモードの非常に重要なところであり、従来、それは全部カットされていたことである。

 

 

 

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