さらに、大英帝国のネルソン提督がトラファルガー海戦でフランス・スペイン連合艦隊を撃破したことも、やはり世界情勢を変える大きな転機となりました。
このように世界史を見てくると、すべての転換点は海が決定しているのですね。太平洋戦争の場合にはミッドウェーの海戦が決定的に戦局を決めました。
では、海の民族と陸の民族を分けるものは何か、つまりどのような民族が「海彦」になり、「山彦」になるのか、ということですが、それは、結局、民族性に帰するのではないかと私は思っています。
と言いますのは、先にもお話ししたように、ユダヤ人はパレスチナというあのような地域におりながら海に対して、まったく関心を示さなかった。それどころか異常な恐怖を抱いていた。海に取り囲まれながら、海洋に目を向けない民族はほかにもいます。例えばアイルランド人がそうですし、アジアではインドネシアやフィリピンなど、ASEANの島国の人たちも積極的に大洋へ乗り出していきませんでした。キューバをはじめとするカリブ諸島の民族も海洋民族とは言えないでしょう。ですから、アイルランド人がなぜ海洋民族にならず、ノルウェー人がどうしてバイキングとして暴れ回ったのか、それはやはり民族心理学的に分析する以外にないという気がいたします。