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そうすると、海洋国家として運命づけられている日本の将来のことを考えると、極東、東アジアというシアターというか、リージョンで考えると、中国との関係をどうするかという問題はもう避けられないわけです。そのとき中国は大陸国家であるわけで、これに対する海洋国家日本というのは、やはりまず第一に友人や味方、つまり同盟をもっている国であり、そして第二に自分の国のことしか考えないという利己的な国、エコノミック・アニマル的あるいは一国平和主義的な生き方の国ではなくて、みんなのためになるような世界秩序、地域秩序をつくるのに積極的に参加する国、そういう国にならなければならないわけで、それが海洋国家日本というものが二十一世紀において成り立つかどうかの鍵ではないかなと思うわけです。

 

森本哲郎 たくさんのご意見、ご質問をいただきましてありがとうございました。ひとつひとつお答えしたいとは思うのですが、きょうの話のまとめとして補足的にいくつか申し上げます。ここで、私が重ねて強調したいのは、世界史の転換点には必ず海が関与している、ということです。

先ほどからいろいろと例を挙げましたが、そのほかにも、例えば一五七一年のレパントの戦い―これは、スペィンのフェリペニ世の無敵艦隊とヴェネチア連合軍対オスマントルコとの戦いですが―この戦いでのスペイン・ヴェネチア連合軍の大勝が、オスマントルコのヨーロッパ進出を食い止める重要な役割を果たしています。

 

 

 

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