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石井威望 未知なる情報ということを考えると、今一番大きいのは、一つはバイオです。DNAやヒトゲノムの情報です。もう一つは宇宙です。ハッブル宇宙望遠鏡によって新たに得られる情報などです。さらにもう一つがモバイル・インターネットの世界です。iモードなど最近急速に発展している分野です。

言葉の連想をしますと、未知なるものの象徴としての海において「ナビゲーション」という言葉がありますが、バイオの世界で「ゲノム・ナビゲーション」という言葉があります。これはゲノムの情報が大海原のようになっており、これをどのように整理していけばいいのかというシミュレーションをすることです。バイオ・インフォマティックスという分野があり、セレーラ・ジェノミックス社などヒトゲノムの解析をしているようなベンチャー企業がスーパーコンピューターの一番性能の良いものを使って、やっています。未知の部分が多いから、ナビゲーションが要るということなのです。

また、インターネットのウェブの中も非常に大きくなっており、これも未知な部分が多く、要するに非常にゆらいでいるわけです。「ゆらぎ」について本格的に取り組み出したのは一九七〇年代頃であり、パソコンがどんどん出てきて以来、複雑系の時代に入り、複雑系のシステム理論を本格的にやり出したのです。八〇年代から九〇年代になって、こうした理論がどうしても必要になったのは、インターネットが急速に発展したからだと思います。

 

 

 

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