石塚嘉一 日本は、海上自衛隊という強力な軍隊を持っていますし、造船技術は依然世界一だと思います。しかし、二十一世紀の日本が海洋国家としてめざすべきは、海軍力や商船艦隊を増強することでなく、確かにそういうハードの面も必要ではありますが、そういうフィジカルな面でなく、軍事力に代わるソフト面での強化であろうと思います。つまり、したたかなソフトパワーとでもいうものでしょうか。他国との友好関係、同盟関係、通商、貿易を通じて行われる広い文化交流など、他の国とのネットワーク、日本独自の情報のネットワークの構築によってわが国のソフトの面を強化することが、現代の日本が海洋国家をめざすために必要なことだと思います。そういう視点から、今日のテーマである海洋国家の歴史から何を学ぶか、ということを考えますと、インド洋貿易時代にすでにできていたネットワークが実際にどのような仕組みであったのか、さらに詳しく知りたいと思いました。