そう思って考えますと、北方領土の問題にしても尖閣の問題にしても、あれだけの大国が日本に対してあれだけ声高に要求を拒み、それを要求することに対して抵抗するというのも、やはり古い陸の民のメンタリティー、サイコロジーではないかなという感じがいたしました。
また、今までの海というものと、これからの海というものは随分違うのではないかと思います。今までは海を物資の輸送、それからそれぞれの権力、覇権の及ぶ範囲を決める場所、そしてパワーをプロジェクトしていく場所として考えてきたのだろうと思いますが、三番目のミレニアムになるときに、実は海を使わなくてもパワーをプロジェクトできる。特に人間が宇宙を使うことができ、また海底にケーブルを張らせることによって情報を自由にあちらこちらに行ったり来たりできるようになったという、その新しい状況の中での海というのは、随分今までのものとは違ってきているのではないだろうか。
そうすると、確かに資源、領土という面での重要性はもちろん否定はしないのですが、ロシア、中国のいわゆる古い陸の民の考える海もしくは島ということと、それから、二十一世紀以降の私たちが考えるべき海、島というものとの間には随分大きな開きが出てくるような気がいたします。
新しい海、新しい空間、これはつまり海洋というものを空間と考え、そして、空間をさらにもう一つ先に進めて、情報が流れるネットワークというふうに考えていった場合に、地球の姿というのは随分違ってきているように思われるので、どちらかといえばロシア、中国とつき合うときの基本的なものの考え方と時代というのをわれわれは考える必要があると思います。
