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先ほど鄭和の航海について、アフリカの遺跡から当時の中国の陶磁器が出土して、その活動がアフリカ大陸奥地にまで及ぶ大変な海洋国家であったというお話がありました。そういう意味では多分今から数百年、あるいはもっと経って世界中の遺跡を発掘すると、ソニーやトヨタの製品がたくさん出てきて、日本も大昔は海洋国家であったなというようなことが言われるのではないかと思うほど、わが国の海外進出は進んでいるわけです。ですから、言葉の定義にもよりますが、現在の日本は立派な海洋国家と言えるのではないかという感想をもっております。

 

竹内佐和子 森本さんがおっしゃられた海洋国家の意味は二つあったように思います。一つは、交易圏というか海を乗り越える力、もう一つは、乗り越える海をどう活用するかという二つの意味です。一応海を乗り越えるほうの定義をとると、十七世紀からの海洋国家の特徴というのは三つぐらいあるのではないかと思います。第一は、テリトリーをコントロールするという感覚。第二は、情報をつくるというか、文化輸出の面、すなわち豊かな生活という影響を及ぼす力。第三は、コミッション・ビジネスができるかどうか。つまり、交易によって富をローカライズする力、浮いたものをフローからストックに変える力です。

 

 

 

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