その衰退、没落、滅亡の背後に何があったのか。繁栄のさなかに内部で音を立てて崩れていたものがあったのではないか。そこに経済的な繁栄と裏腹にナショナリズムの衰退という問題が絡んでいるのではないかと想像しているのです。栄えた国が滅びるとき、必ず先行してナショナリズムの弱体化―言い換えればグローバリズムヘの埋没という問題が起こっているのではないでしょうか。
冒頭、グローバリズムを引き受ける覚悟が必要だと申し上げましたが、しかし、これは考えてみると大変なことでありまして、人間というのはしょせんそんなに強い存在ではない。ある種の「仕切り」というものの中で安心する、それが人間の本質ではないかという気もします。無理に無理を重ねてグローバリズムを引き受けるということは、逆に衰退、滅亡を早めるのではないでしょうか。
秋元一峰 「海」そのものから見ますと、フェニキアからアメリカに至るまで、いくつかの海洋国家が海洋と国家とのかかわりの歴史を築いてきましたが、それぞれの海洋国家がかかわりを持った海洋の性質は、決して同一ではなかったと思います。私はそれを、「海洋世界のパラダイム・シフト」と呼んでいます。