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それから、海洋国家日本としての力をこれ以上後退させないために何をなすべきかということを考えてみたいと思いますが、シンガポールなどを見ますと、やはりこれからの港、港湾のあり方が非常に重要になってくると思います。それぞれの港がポートオーソリティーをつくり、競争し合うことが必要になってくる中で、今いろいろと問題になっている地方分権、それから省庁の縦割りの排除ということが、今の港の抱えている問題を象徴しているのではないかと考えております。日本は自ら経済封鎖というか、港を自ら好んで封鎖しているのではないかというような陰口さえ聞こえるところです。

 

遠藤浩一 グローバリズムとナショナリズムの関係についてお伺いしたいと思います。海洋国家として外に向かって日本が戦略的に展開していくということは、グローバリズムを引き受ける覚悟が必要になってきます。もちろんこれはグローバリズムに埋没するということでもないですし、グローバリズムの前で体を縮めてやり過ごすということでもありません。胸を広げてそれを引き受けるということだろうと思うのですが、今の日本にそれを引き受けるだけの体力、知力、精神力、そういうものがあるのかどうか、私自身は非常に心もとない思いをしています。

ところで、フェニキア、ギリシア、アラビア、インド、オランダ、英国といった、かつて海洋国家として覇権を押さえた国家がその後なぜ衰退したのか、没落したのか、あるいは滅亡したのか。

 

 

 

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