それから、最近のインドネシアにおける紛争にしましても、イスラムとカソリックの問題があります。さらに加えて言うならば、マカオの中国返還というようなことを、宗教的な面からも、また地政学的な面からもとらえる必要があるのではないかと思っています。
次に、海洋国家日本について考えますと、日本が国家としての存在や国力をいかに二十一世紀にも維持し、また発展させていくかという実に重要な課題があり、それには二つのポイントがあると思うのです。
第一に、先ほどフェニキア、カルタゴとローマ、ギリシアのそれぞれの攻防盛衰史についてお話がありましたように、やはり周りにいるライバルとの関係があります。二十一世紀の明確なライバルは、私は中国だと思います。中国との関係をどう見ていくのか、これは外せない観点です。また、中国でのイスラムの動きというのも結構目が離せないものがあります。日本人人質事件がありましたキルギスも中国とは地続きであり、またウイグル、新彊といった地域のイスラムの人口などを考えますと、中国を向こう側から見る必要もあるのではないかと思っております。中国との力関係を考える場合、これから日本はイスラム研究も真剣にやるべきではないでしょうか。