今日はフェニキアからお話を始めましたので、つい触れることなくきてしまいましたが、太平洋の海洋民族といえば、ポリネシア人です。彼らがアジア大陸から海を渡ってポリネシア諸島に移住したのは今から二千年も前と言われています。海図も羅針盤も、天文の測定器具もなしに、丸木のような船で、この広い太平洋をハワイからイースター島まで、どのようにしてたどりついたのか。
そのポリネシア人と関係の深い我々は、本来の「海の民」たるべく、海へ向かう視野を持たねばなりません。地球の四分の三を占める「海」の秩序は、二十一世紀の世界に欠かせないものです。そのために日本は何をなし得るのか、私は、これがいま我々に与えられている大きな問題ではないかと思います。