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鄭和の遠征はすでに終わっていましたが、こちらは中国の国内事情からでした。一言で言えば、金がかかりすぎる、ということです。そこで、大型船の建造は禁止され、中国は海洋帝国としての可能性を放棄することになりました。そして、ここから、中国は完全に「陸」の国家へ戻ってしまいます。

 

四. 海の民、陸の民

 

このように見てきますと、「海」を制するものが世界を制する、という図式が、いずれにも当てはまるように思います。

では、いったい「海の民」とはどういう民族だったのか。最初に申し上げたように、まず、フェニキア人、カルタゴ人ですね。ついでギリシア人。さらに北欧のヴァイキングもそうです。それから、アラビア人です。アラビア人というと、砂漠の民というイメージが強いのですが、彼らは海洋術にも長けておりました。先ほどお話ししたインド洋貿易でも大いに活躍しましたし、『アラビアンナイト』には「シンドバッドの冒険」という物語があることを思い出していただければ、うなずけるでしょう。そして、インド人。彼らも中継貿易で広く活動しました。東アフリカでは、いまでもインド商人が大きな役割を演じています。

 

 

 

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