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今日の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国からスリランカ、インド西岸、アラビア半島の港を経由して、東アフリカのマリンディ、モガディシオ、ソファラといった港をつないだネットワークです。この交易網を活用したのは、ほとんどインドやアラビアの商人たちですが、その悼尾を飾るのが、中国、明の鄭和が率いた大船団でした。鄭和はイスラム教徒で、中国に帰化した胡人ということです。彼が組織した船団は、なんと二百隻を超える大船団で、総勢二万人を数えたといいます。船のなかには長さが一五〇メートル、幅六〇メートルもある巨大なものもありました。

こうしたネットワークの存在を証明しているのが、東アフリカのジンバブエの遺跡です。「グレート・ジンバブエ」と呼ばれるこの遺跡は、ただ石を積んだだけの建造物で一ジンバブエというのは「石の家」という意味です―非常に不思議な建築方法なんですが、最初にここを発掘した西洋人の考古学者たちは、こんな精巧な建築は黒人にできるわけがないと言って、ギリシア人あたりがここへ来て造ったのではないか、などという説を唱えていたほどです。しかし、調査がすすむうち、これが黒人王国の遺産であるということがはっきりしてきました。

ところで、なにより考古学者を驚かせたのは、この遺跡からやたらに中国の陶磁器が出てくることでした。宋、元、明時代のものです。

 

 

 

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