(3) スパッドのピンニングアップ量
船体の浮心より前方にある作業スパッドを地盤に押込むと、近似的には押込力に相当する排水量分船首が持ち上がる。これをスパッドのピンニングアップ量と称し、計算手法等については、参考・引用文献(4.1)作業船設計基準第7編ディッパ船3.4.2を参照のこと。
3.2.3 形状
バックホウ浚渫船のスパッド断面形状は、特別な場合を除き、矩形(中空ボックス形状)とし、先端部は地盤との底面摩擦力が十分確保できる形状とする。
〔解説〕
スパッド断面形状は、参考に示した図3-3でも分かるとおり、船体構造及び保持金物との取り合い、更には揚降装置との関係の諸点から矩形が都合がよい。また、断面係数の面でも円筒型より矩形の方が有利である。
自由落下による貫入型スパッドの先端形状は円錐型とするものが多いが、押込型・先端支持杭であるバックホウ浚渫船のスパッド先端形状は水平摩擦力の確保が重要である。
3.2.4 揚降装置
スパッドの揚降(押込及び揚収)は、特別な場合(油圧シリンダ昇降方式、ラックピニオン昇降方式等)を除き、スパッドウインチによるものとし、押込及び揚収用にそれぞれに索具・滑車を装備して、スパッドウインチの正転・逆転によりスパッドの揚降を行う。
スパッドウインチは各スパッドに1台宛装備し、必要な押込力(又は揚収力)を発揮できる能力と十分な強度を有するものとする。
〔解説〕
(1) スパッドウインチ力量
(a) 押込力による場合