注記:1) シーブの数合計は、最終固定シーブから直接ウインチドラムに巻き取るとして数えた数量
2) シーブの数合計がワイヤロープ掛け本数と等しい
(b) 揚収(引抜)力による場合
先端支持力が望めない軟質土においてはスパッドを一定長土中に貫入し、この貫入部の周面摩擦抵抗により、掘削力等の外力に対抗して船体が保持される。
スパッド引抜力は以下の算式により求まる。
Pu=(4×B×H×C)+Wg
Pu:スパッド引抜力 (kN)
B:矩形スパッドー辺の長さ (m)
H:土中貫入長さ (m)
C:周面摩擦抵抗 (kN/m2)
Wg:スパッド自重力 (kN)
(2) スパッドウインチ駆動方式
(a) 電動機駆動
スパッド着底後の押込時(又は揚収前の引抜時)に最大力量は必要であるが速度は遅くてもよい、着底前までの引降ろし及び地切後の引きげ過程では早い速度が要求されるという使用条件に適応する方式として以下のようなものがある。
・DCモータ サイリスタ方式
・ACモータ インバータ方式
・ACモータ ポールチェンジ式
(b) 油圧モータ駆動
速度特性は使用条件に合致するが、電動機のように短時間150%トルク発生の特性が得られないので、結果として電動機に比べて大きな出力の油圧モータが必要となる。
(3) スパッドウインチの配置
大型船では図3-3バックホウ浚渫船の一般配置図の例のように船体内部にスパッドウインチを配置して、上甲板には操船用等の他の目的のウインチを配置している。
一般のバックホウ浚渫船では、スパッドが係留装置を兼ねる場合、操船ウインチは装備しないので、また船体深さ寸法Dが小さくて船体内部にウインチを配置できないケースもあるので、スパッドウインチは上甲板上に配置されるものが多い。
スパッドウインチを船内に設置した場合、ワイヤの出入口からの浸水による沈設事故のないように留意する。