第6章 機関・電気部
6.1 動力方式の選定
動力方式は下記のものが標準的である。
(1) 起重機部
(a) 小型のもの及び単純な速度制御
ディーゼルエンジン駆動
(b) ウインチの種類が多いもの及び微細な速度制御を必要とするもの
電動駆動
(c) 油圧特性を必要とするもの
油圧駆動
(2) 甲板機械部
甲板機械部の動力方式は電動駆動又は油圧駆動が標準的である。
〔解説〕
(1) ディーゼルエンジン駆動
巻上荷重350トン以下の起重機の約60%、360トン以上の起重機の約20%で採用されている方式で、クラッチ、ブレーキの切換により巻上、旋回、俯仰等の操作を行う。
起動トルクの増幅、速度制御、作動の円滑の目的でエンジンと減速機との間にトルクコンバータを設ける。
(2) 電動駆動
巻上荷重350トン以下の起重機の約30%、360トン以上の起重機の約50%で採用されている方式で、交流(AC)方式と直流(DC)方式に大別される。
ウインチの種類が多く、それぞれ独立した動力を必要とするものに適する。
操作が簡単で微細な速度制御ができ、ストール特性、定出力特性も付加することができる。
(3) 油圧駆動
巻上荷重350トン以下の起重機の約10%、360トン以上の起重機の約23%で採用されている方式である。
油圧方式起重機はストール特性、定出力特性を有し、広範囲、微細な速度制御ができる。
(4) 甲板機械部動力方式
駆動機が甲板部に露出され、複数のウインチが連動あるいはラップして使用される場合が多く、運転は間欠的である。駆動機は防水構造で、発停、速度制御、遠隔操作に適する電動機あるいは油圧モータ駆動とする。