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おわりに

 

運動は継続しなければその効果は小さいものとなります。しかし人間のすることですから、継続するにはやる気が続かなければなりません。痩せるという目標を持つのも良いでしょう。痩せれば病気が直ったり、病気の予防になったりするという動機でも良いでしょう。痩せて美しくなるという動機でも、もちろん構いません。動機のいかんに関わらず、痩せればさまざまな恩恵がもたらされるのですから。

知的障害を持つ人々の重要な健康問題の一つに肥満が挙げられるということを、冒頭でお話いたしました。知的障害児童・生徒の場合、肥満になる人の頻度が高いことは事実です。しかしながら、そういった人々の中で寄宿舎で生活する人には肥満が少ないことも報告されているのです。このことは食生活をコントロールすることで肥満の出現を減らすことができることを示しています。また、知的障害児養護学校を卒業した後、エネルギーの摂取と消費のアンバランスに拍車がかかることが指摘されています。これなども逆に言えば、卒業後でも適切な運動を実施することで減量効果が期待できるということを物語っていると言えましょう。そういった意味において、養護学校を卒業した知的障害者にも適切な運動を保証することが大切なのです。

 

ここで次の第3部にバトンタッチすることにいたします。第3部では、場所をとらずに、手軽に、楽しくできる、日常的な運動の数々が紹介されます。

 

参考文献

1) 荒川規矩男、河合忠一(編):運動療法の実際、南江堂、1991.

2) 有馬正高(主任研究者):知的障害を持つ人達の健康障害の実態と対策に関する研究. 厚生科学研究費補助金(障害保健福祉総合研究事業)平成10年度報告書、1999.

3) 池上晴夫:スポーツ医学l 病気と運動-. 朝倉書店、1994.

4) 蒲原聖可:肥満とダイエットの遺伝学 遺伝子が決める食欲と体重. 朝日選書、1999.

5) 北村肇(編):サンデー毎日 4374、毎日新聞社、2000.

6) 水越さくえ(編):saita 66、芝パーク出版、2000.

 

 

 

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