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運動は日常的に行うのが理想的です。その理由の一つは基礎代謝にあります。運動を日常的に継続していると、1回1回の運動で消費されるカロリーとは別に基礎代謝が高まるのです。スポーツマンの基礎代謝は一般人よりも5〜10%も高いと言われているのです。「運動している人は寝ていても痩せる」ということです。

糖尿病とは血糖を筋肉などに取り込むためのインスリンというホルモンが分泌されにくくなったり、その効きが悪くなったりする病気であることは説明しました。運動トレーニングはこのインスリンの効き(インスリン感受性)を改善します。図8と図9はインスリン感受性の落ちていた単純肥満者や肥満糖尿病患者において運動トレーニングによって改善効果が認められたことを示したグラフです。ちなみに、このグラフ中のグルコース代謝量という指標はインスリン感受性を表しています。

 

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図8 単純肥満者ならびに肥満糖尿病患者におけるインスリン感受性の低下

(佐藤と押田、1991)

 

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図9 単純性肥満者と肥満糖尿病患者の体重とインスリン感受性に対する運動トレーニングの効果

(佐藤と押田、1991)

 

運動は脂肪の燃焼に効きます。できればあまり強度の高くない有酸素性運動を主体にしてください。そして表2に示したように、日常生活の中でできる軽い運動やスポーツを上手に取り入れて、一日に300キロカロリーを余分に消費するよう工夫してみましょう。大切なことは継続することです。その効果は活動代謝のみならず基礎代謝にも及び、肥満の防止や解消につながるでしょう。

 

 

 

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