日本財団 図書館


4. 運動は肥満防止に効くのでしょうか?

 

遺伝的要因を背景にして環境的要因が変化することによって肥満が起こるということを説明してきました。環境的要因をエネルギー収支の観点から大きく分けるとエネルギーの摂取と消費の二つになります。ここではエネルギーの消費について説明します。

エネルギー消費には基礎代謝、食事誘導性熱産生、活動代謝という三つの要素があります。基礎代謝とは心臓の拍動、呼吸、体温維持など生存に必要な生理作用を維持するために使われるエネルギーのことです。食事誘導性熱産生とは、食後に体熱の産生が起こり、その時に使われるエネルギーです。そして活動代謝は姿勢の保持、日常の生活活動、スポーツなども含めた身体運動に使われるエネルギーです。肥満防止のための運動を論じるにあたって、ここでは特に基礎代謝と活動代謝が重要になってくるのです。

大まかに言えば、肥満はエネルギーの摂取過多と消費不足に起因します。エネルギーの摂取過多については別の機会に譲るとして、ここではエネルギー消費をどのように確保するかについて説明します。日常的な生活活動に加えて、意識的に身体を動かすことが重要です。糖尿病を予防するためには、1日に300キロカロリーを余分に消費することをこころがけましょう。

表2に、体重70キログラムの男性が300キロカロリーを消費するために必要な運動の例を示しました。

それぞれの人の生活パターンに合わせて、上手に取り入れてみたらいかがでしょうか。

 

表2 体重70キログラムの男性が300キロカロリー消費するために必要な運動

(佐々木、2000を改変)

026-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION