糖尿病の入院・通院患者は戦後50年間で少なくとも20倍に増加していることが分かります。この現象は遺伝的要因によるものでしょうか、それとも環境的要因によるものでしょうか。50年という短い間に日本人の遺伝的素因が激変することは考えにくいと思います。そこで環境的要因を見てみることにします。
まずエネルギー摂取量ですが、この点に関しては絶対量は戦後50年間を通じてあまり変化していないようです。それに対してエネルギー消費量の方は急激に低下しているように思われます。エネルギー消費量の直接的データではありませんが、グラフに示された日本人の自動車保有台数の急増は歩行を含めた運動量の低下を如実に物語っていると言えましょう。食生活が欧米化し、脂質の摂取割合が増えたことも糖尿病患者の増大に大きく影響していることが見てとれます。また、グラフには出ていませんが、現代の日本人にとってストレスによる過食も見過ごせない問題点でありましょう。