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3. 肥満は何故、起こるのでしょうか?

 

ある人が肥満になるか、肥満にならないかについては、実は一筋縄ではいかない複雑な問題をはらんでいるのです。肥満は遺伝的要因と環境的要因の両方の影響を受けています。遺伝的要因については、最近の分子生物学的手法の飛躍的発展にともなって、新しい研究成果が次々に明らかにされ始めています。

ヒトの肥満は多因子遺伝疾患であり、それに関与する遺伝子は食欲に関係するものからエネルギー消費に関係するものまで、数多くの候補が挙げられています。一例を挙げると、エネルギー消費に関係するβ3アドレナリン受容体遺伝子に変異があると、エネルギー消費が少なくなり、結果的に肥満の一因になると考えられています。

人種のるつぼといわれるニューヨークで同じような生活環境であるにも関わらず、人種によって肥満者の割合は異なります。白人やアジア人と比較して、黒人やヒスパニック系の人々により肥満が多いと言われています。この現象なども人種間の遺伝的背景の違いを表しているものと言えます。

 

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