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1. 肥満とはどのような状態をさすのでしょうか?

 

肥満の問題を論じるにあたって、まず肥満というものを定義してみたいと思います。肥満とは単に体重が多いということではなく、脂肪が体内に過剰に蓄積した状態をさします。体重の中で脂肪がどれ位の重さを占めているかを示す指標が体脂肪率です。

体脂肪率を測定する方法には、水中体重法、二重X線法、超音波法、近赤外線法、コンピューター断層法(CT法)、磁気共鳴映像法(MRl法)、キャリパー法、インピーダンス法などがあり、それぞれ長所と短所とを持っています。

水中体重法は精度が高い反面、被検者には苦労を強いなければなりません。被検者は測定にあたって完全に水没し、かつ水中で息を吐いた状態を保たなければならないのです。二重X線法は体の組織の違いによりX線の吸収率に差があることを利用したものです。しかしこの方法では、体に有害なX線を照射しなければならないという欠点があります。超音波法、近赤外線法、CT法、MRl法は高額な測定機器を必要とします。

最も安価で簡便なため、スポーツ医・科学の現場で従来から用いられてきた方法にキャリパー法があります。これはある特定の部位の皮膚をつまみ上げ、皮膚とその皮下の脂肪厚を皮脂厚計(キャリパー)で計るというものです。再現性良く正確に計るためには測定者の熟練を要する、ということが欠点です。

最近ではインピーダンス法を利用した測定機器が、一般家庭でも比較的安価に入手できるようになりました。これは体内の電気抵抗が脂肪組織とそれ以外の組織とで異なるという原理を応用した方法です。すなわち、水分をほとんど含まない脂肪組織は電気を通しにくく、水分を多く含む筋肉などでは電気を通しやすいということです。しかしこれも、体内の水分量の変動の影響を大きく受けるという欠点があります。測定前に運動したり飲食したりすると、測定値にばらつきが生じてしまうのです。

 

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