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第2部 知的障害のある方の肥満と運動の効果

 

はじめに

 

筑波大学体育科学系

大森肇

 

知的障害のある人々の健康に関する諸問題はこれまで社会的にほとんど注目されてきませんでした。しかしながら、一般の人々と同様に知的障害者にとっても、健康問題が重要であることは言うまでもありません。本稿では、知的障害者の健康問題の一つとして指摘されている“肥満”にスポットを当てて解説してみたいと思います。

表1をご覧下さい。これは、某県の知的障害児養護学校5校における肥満頻度に関する実態調査の結果を示したものです。

 

表1 某県における養護学校児童・生徒の肥満頻度

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性別、年齢別、身長別の標準体重と比較して20%以上体重の多い児童・生徒の割合を示しています。これを見てもわかる通り、5校すべてにおいて、20%以上体重の多い児童・生徒の割合は21〜35%にのぼりました。健常児の場合、一般的にこの割合が5%程度ですから、知的障害児童・生徒の場合、肥満を呈する人の頻度が高いことが伺い知れます。こうした傾向は知的障害成人の場合も同様です。

これらのデータから、知的障害者にとって肥満は大きな健康問題であると言えましょう。

 

 

 

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