1) 汗を流す爽快感
これは特に説明する必要もありませんが、汗を流した後の気持ちのよさは、スポーツ後に誰しもが経験することです。
2) 目的達成の成就感
スポーツを行う場合、様々な目標をたてます。例えば、ある技術を獲得しよう(跳び箱が跳べるようになるとか、鉄棒で逆上がりができるようになるなど)とか、目標地点までを30分で走れるようになるとか、あの相手と試合をやって勝つ等々ですが、目標を達成した時の成就の喜びを運動は与えてくれます。知的障害のある人達も、目標を達成した時に、実に満足そうな表情を浮かべますし、喜びを全身で表わす人をゆうあいピック等の競技会場で目にします。真剣に目標に集中し、よい結果が出たときの成就感は格別なのだと思います。
3) 友人との交わり
スポーツは、仕事や日常の生活場面と違った友人を与えてくれます。利害関係の無い新しい交わりができます。商業スポーツクラブで会員に対して行ったアンケートで、「何を求めてこのクラブに来ていますか」という質問の回答では、『友人との交わり』に対する回答は1位もしくは2位にランクされる場合が多いのです。筆者の住んでいる市の市民体育館では、かつてスポーツ講座があり、そこの受講生の人達は講座終了後自主的にクラブをつくって週に1度スポーツを楽しんでいました。多くは家庭の主婦ですが、スポーツそのものもさておきながら、スポーツを終えた後のお茶の会、飲み会、宿泊旅行とか、色々活動を発展させて現在も楽しんでいます。
このように、日常生活圏を離れて新たな交友関係を築くということは、知的障害のある人には特に必要と感じます。というのは、知的障害のある人は、交友関係が非常に狭いからです。学校生活での先生や友人、作業所では指導員と友人、それらの友人全てと交流を持つわけではありませんから、場合によっては本当に狭い範囲の交友関係しか築けない人もいます。また、休日に連絡を取り合ってどこかに集まって活動するということができにくい人達ですから、決まった場所と時間に集まってスポーツをする機会を持てれば新しい交友関係は確実に拡大します。