VI 今後の課題などについて
20年ほど前から魚の直売場や加工場の設置ということで、前浜を埋め立て海岸整備を行なったが、ここに今年、定置網体験を対象として観光バスを導入するために、トイレや休憩場所を増設し、加工場と冷蔵庫、直売場を造る予定であったが、直売場は規定外ということで外されて建設される。現場の理想としては、体育館のように広いものにして、その時に利用する仕方によって、仕切りを入れて対応できる建物が良いと考えていた。
また漁業体験としては夏場しか活用できていないため、今後は一年間を通して多様性のあるプログラムを開発して、総合的な海のレジャー公園とするために、次のような課題が検討されている。
1] 1〜200人の釣り客が乗れるような浮き桟橋(釣り堀)の設置。
2] 定置網体験の時に、定置網の横に設置しても揺れないような設備の開発。
海水浴場には幼児や児童などの子ども達に魚のすくい取りやつかみ取りができるプールや溜池のような施設の設置。
3] 参加者の食事は、魚の量で圧倒することではなく、洗練されたものを提供する。
4] 魚の直売場の整備など。
5] 年間を通した新しいプログラムの開発。
6] 遠来の参加者のための宿泊施設の整備。
7] 釣り方も養殖筏や沖釣り、トローリングなど色々と考えることは可能であるが、船舶の航行が多い瀬戸内海だけに条件が厳しい。
8] 先方(予約者)からのキャンセルに対する対応。
9] 港全体をきれいにするゴミ問題。
いずれにせよ以前は、春、秋の定置網漁業だけで十分漁業経営が可能であったが、最近は漁獲不振に加え、魚価安、高齢化問題などにより、漁業者としても体質改善を余儀なくされている。
そこでこうした新規事業の進出が、漁獲不振や魚価安、高齢化をカバーし、漁業本体の経営を維持している。今ではこうした事業抜きに、漁業経営も、漁協経営も考えていくことは不可能という。
現在のように今後とも漁獲不振が続くとは思えないが、関係者としてはこうした現実を直視し、漁業振興を図っていくべきではないだろうか。