こうした様々な意見提言を踏まえ、できることは改善しつつ、事業の推進のために、島嶼間の連携を今後、笠岡市観光連盟は、京阪神や関東の学校にPRに乗り出すという。そのため島民や市職員が積極的に学校訪問をしたり、旅行代理店に働きかけたりするという。
またこれまでは市役所を始め関係機関の支援があったため、格安料金が設定でき、パンフレットなど広報活動にも直接タッチすることなく、参加者を募ることができたが、そうした支援がなくなれば、料金がアップされ、客足が遠のくというのも現実である。
そこで課題は、自主自立の対応がスムーズに出来るか、どうかが鍵となっている。さらに主催者側としてのやりがいや島の中での反応なども、継続が可能か否かの大きな要因となってくるであろう。
関係者は、将来に向けての夢も希望も大きなものがあり、現実としても着実な進展を見せているだけに、こうした様々な点を一つ一つ堅実に打開していくという。
第3項 広島県田島漁業協同組合の現状と課題
I 田島漁協の概要
広島県の東部にあり、新幹線福山駅より車で30分、バスで50分程の所にある。平成元年に地元内海大橋の開通により、田島と横島の2つの島が陸地とつながった。2つの島の総面積は12.77km、周囲合計は31.24kmである。人口は約4,000人、町は漁業のほか蜜柑や肉豚などの生産を行なっている。町内には田島漁協と横島漁協の2つの漁協があり、以前は瀬戸内海地域では有数な漁業発生地として、その名を馳せていた。
田島漁協は組合員数94名(正74、准20)、職員6名、現在の漁業経営体数は77、主要魚種は小型定置網が34、ノリ養殖13、魚類養殖が7経営体である。なかでも主要魚種であるノリ養殖業は昭和41年から始められ、以後急速に拡大され、現在では町産業の一つとなっている。動力船は3〜5t階層が多く、次に3トン未満船となっている。県下でも比較的大規模な経営体を持つ漁協といえる。
組合にはノリ研究会13名、観光漁業部会17名、魚類養殖部会7名、漁協婦人部49名、漁協青年部15名がいる。
II 小型定置網(つぼ網)の兼業化
昭和58年に県の事業としてSunSun広島が始まり、町役場を通じて定置網観光実施の誘いがあり、初年度は定置網漁業者から10名の希望者を選定、漁業者側の負担により実施した。この年は、以前から友人や親戚、知り合いのひと達を招待していたかたちの延長として実施したため、それなりに基礎はできており、大きな問題は生じなかった。そして早速翌年には、漁協に観光部を設置し、漁協が500万円を負担して陸上の昼食施設を整備した。
初年度の参加者(客)は69名であったが、翌年には各地で話題となり、特に春先からは地元新聞やテレビで放映されたり、働きかけたりした結果、参加者は10倍となり、年々増え昭和62年には1,532名、現在では2,000名を超える盛況を呈し、参加者をさばき切れないほどの許容限度一杯にまでになっている。そして何よりも経済不況にある今日にあっても、依然として参加者数は減ることもなく、恒例の人気行事として定着している。そのため漁獲減少、魚価低迷のなかにあって、春先から秋先(4月中旬〜9月末)の約5ヶ月間で数百万円近くの純収益が上がり、その安定化に役立っている。いまでは本事業を抜きに漁協経営も、漁業経営も成り立つことはできないまでになっている。