1] 外の参加者だけでなく、島内の参加者を募り、交流事業とする。
2] 島内での事業を理解してもるうためにも、島全体を使った事業とする。
3] イベントのための体験型漁業ではなく、日常の時間・場所で行なう。
4] 参加者経費を押さえるために、宿舎はB&Gの体育館を利用する。
初日は、遊びと海洋学習を並行して行なうために、ウィンドサーフィンやシーカヤックをインストラクターに学び、地元の理科の先生と漁業者からは、海辺の探索とあわせて生物連鎖の実験の指導を受けた。さらに地元でのふれあいのために、夕方には各班ごとに民宿の掃除をボランティアで行い、その代わり民宿の風呂に入らせてもらうという方法をとった。
2日目は4時に起床、すぐに約2時間30分の打瀬網漁に出発、そのまま漁協で魚の仕分けなどを実践、朝食後には、漁協婦人部から取れた魚の特徴や料理の仕方について教わった。昼食はこども達で作り、午後は「島アスロン」として2時間程度のオリエンテーリングを実施、島全体で10ヶ所のチェックポイントを設け、完走すると修了書を交付した。海には2ヶ所のチェックポイントがあり、シーカヤックでポイントを探したり、海洋牧場のチヌに餌をやったり、島の駄菓子屋でアイスクリームを買い、スタンプを貰うポイントもある。さらには夏休み中の白石小学校の宿直の先生と話しをするポイントなど、島の方々とのふれあいと自然とのふれあいポイントを設定した。
こうした試みは、地元関係者からも好評で、地元側の小学生がリーダーとなり他の子どもたちを引き連れている様子は、何とも頼もしい気がした。またこの体験型漁業は、単なる観光として留まることなく、島の生活体験を通じ、実感として何か掴んでくれたものと確信しているという。
さらに修学旅行の受け入れは、昭和60年岐阜県中津川市の中学校が、山育ちのこども達にも海の生活を体験させたいという申し込み依頼があって以来、教員らの口コミで広まった。ほとんどが広島市での平和学習とセットであるが、最近は生徒達の要望で、平和学習を早めに切り上げるケースも増え、1泊から2泊に延長している。昨年は5〜6月のシーズン中に、過去最多の8中学校を受け入れた。
ある時には、中学3年生180名が、笠岡港からチャーター船で訪れ、島内5カ所に分宿した。生徒達はきれいな魚や島の人たちの暮らし振りなどを目にし、体験をしたことにより、色々な発見や新鮮な驚きに目を輝かしていたという。
修学旅行の資料である「海遊ぶ体験」には、簡単な魚もの知り事典や魚の流通の仕組み、漁業種類の解説、またクイズや旧暦の解説まで、その内容は大変豊富で、理論よりも実習を通して学ぶことで、生徒達も大変理解しやすく、大好評という。資料には学生用と保護者用のものがある。
またスケジュールとしては大差ないが、夕方には地元のひと達が、国の無形民俗文化財「白石踊り」を披露した。因みに白石踊りとは、源平合戦で戦死した人々の霊を弔うことに始まり、8月14〜16日まで島民が一つの輪になって夜を徹して10数種類の踊りを踊り続けるもので、その様子は優雅で、幻想的だという。
因みに日本修学旅行協会によると、修学旅行での体験学習(スキーを除く)の状況は、中学校ではここ数年間は20%程度と横ばいだが、高校では89年の12%から97年には25%に進展した。中学校では4時間以上を費やす学校が88年の8%から96年には19%に伸びている。内容もマリンスポーツのほか農業体験、牧場体験などが人気を高め、修学旅行の狙いが、教科学習の延長から自然環境、スポーツ学習などに変わりつつある。