VI 沖縄県でのエコツーリズムの主な課題
沖縄県でのエコツーリズムを推進する上で、利用者から、観光立県として散乱するゴミ、景観破壊、赤土問題などへの対応、サービス機関職員の接遇の基本姿勢ができていない等ということが指摘されている。関係者からは、エコツーリズムを所管する県行政機関がないことなどから、「県全体の方向付けや共通の生態学的ルール、あるいはエコツーリズム・オペレーティングマニュアル」の標準的な施策や基準も示されていないため、多くの地域で混乱を来していた。
また、修学旅行の環境学習を含む沖縄県のエコツーリズムの課題としては、海洋レジャーサイト(参加者を受け入れる側)の環境収容力など生態学的特性の把握、ホスピタリティーマインド(人を親切にもてなす精神)を第一とするガイドの均一化、各種プログラムの適正価格の設定、参加者サイト別のガイドブックの作成、或いは参加者サイトの適切な管理運営、各セクター(観光業者、行政、研究者)の窓口の一本化や定期協議機関の設置などがあげられる。
先進地であろう沖縄県においてもエコツーリズム、体験ツーリズム、ブルーツーリズムがまだまだ地についている状態であるとは言えず、その基礎づくりにやっと緒についた段階である。そうした点からも、本事業においては前述した要旨について十分に吟味し、対策を立てていかなければならないと思われた。
第2項 岡山県笠岡市の現状と課題
I 岡山県笠岡市と漁協の概要
岡山県笠岡市は県の西南の端にあり、西隣は広島県福山市に接している。人口は約6万人。本土側の干拓地には平成2年カブトガニ博物館も建設され、生きている化石カブトガニの生息地として有名である。市内にある笠岡諸島は、四国に向かって帯状に点在しており、その島々の数は約30有余。昭和30年にかけて2町2村(有人島7つ)が合併した。平成12年を見ると島の世帯数は1622戸、人口は3509人、各々笠岡市全体の7.4%、5.8%を占めている。なお島は昭和60年から平成7年の10年間に人口が27%減少する一方、高齢者の割合は23%から37%へ、最近は45%に増加している。歯止めのかからない人口減少や児童数の減少は、小中、高校など学校の統廃合にまで影響し、深刻さを増している。
各島には30分程度で着く定期便が、1日に数便以上通っている。
島全体としての就業者数は1604人、市全体の5.6%で第2次産業(石材採掘)が一番高く、次いで第3次産業の観光業(民宿等)、第1次産業(蜜柑、えんどう豆など園芸作物・牡蠣、海苔、フグ養殖など)となっている。島では、その大半が漁業と民宿(旅館)の兼業者であるため、観光と漁業との連携を強化して、産業おこしに独自のプログラムをと考えている。
市内には6漁協があり、経営体は底曳き網が96、刺し網が34、定置網29、釣り22、海苔養殖18、魚介類養殖10などで、漁獲金額は11億円となっている。うち4漁協に青年部があり、50歳以下の加入者は48名。2漁協には青年部はないが、50歳以下は15名いる。