同ページの中の「1] エコツーリズム」の内容としては、「1] 花の旅」、「2] 大自然の喜び」、「3] 沖縄自然体験」、「4] ポレポレ探検隊のおきなわアウトドア情報」で構成されている。
さらには、よくエコツーリズムの発祥の地とされる沖縄県竹富町ですら役場内に担当課がない状況で、「竹富町や関係する島々の情報の収集で苦労している」「インターネットや電話などでいろいろと調べているのだが、どこに問い合わせていいのか分からない」との関係者や修学旅行生の声を聞いた。
しかし、市町村行政機関レベルの先駆的な動きとしては、東村経済課が中心となり、民間と行政等がタイアップして「東村エコツーリズム協会」を設立していた。
同村では、「東村エコツーリズム設立準備委員会」が、平成11年5月31日に設立総会を開催し、村民、観光業者、行政、専門家などで構成する「東村エコツーリズム協会」を設立した。同協会は、東村にふさわしいエコツーリズムの確立をめざして、自然・文化との触れ合い及び保全を行うとともに、地域経済への貢献を通して東村の活性化を図ることを目的としており、今後の活動が期待されている。
なお他都道府県の修学旅行担当者などからは、「エコツーリズムを論じる前に、観光立県としての姿勢が全くなっていない。沖縄県庁に電話をしても電話の対応の悪さや、たらい回しは当たり前で、行政サービス機関という意識が殆どの職員に感じられない。庁内でそういう取り組みもないのではないか。」「沖縄県庁は観光に力を入れているというのは本当なのですか?」「自然を利用した新しい旅行商品を開発する意志があるのですか」という、関係者からの手厳しい意見があった。
そして沖縄県内の市町村や関係機関での各種刊行物やインターネットのホームページ情報媒体には、「エコツーリズム」という位置づけすら、県と同様にされていない状況が多々見られた。
V エコツーリズムを試行錯誤する関係者
一方、沖縄県内の民間レベルの動向については、琉球銀行調査部が平成11年(1999)5月に「沖縄県におけるエコツーリズムの現状と課題」で、詳しくまとめられている。
同報告書では、エコツーリズムの定義、西表エコツーリズム協会と座間味村ホエールウォッチング協会を紹介し、国頭村、大宜味村及び東村の3村(やんばる地域)の現状と課題を述べた後、課題と提言として、エコツーリズムは従来型の観光形態(マスツーリズム)を補完するものである。エコツーリズムは観光資源の保全を目指す旅行形態であり、一度に大量の旅行者をさばくものではない。地元の住民が経済的にそして精神的に満足したときにエコツーリズムが成功したと言える。そのためには、地域の自然・歴史・文化を尊敬するという観光客側の意識レベルの向上も欠かせないとまとめてあり、今後のエコツーリズムの可能性等について言及している。
なお、現状では「自称エコツアー」も多く、利用者からも「エコツアーの定義をハッキリさせて欲しい」「苦情をどこに訴えていいか分からない」「米国や豪州のようなエコツアー・サービス・デスクや、1つのコンセプトのもとに徹底したサービスを行って欲しい」との要望があった。
宜野湾市のテラ・ワークスが運営するシーカヤック活動は、環境負荷を極力軽減するために、生分解を促す再生紙の使用をはじめとして、無人島キャンプ、スノーケル、堀トイレなど少人数で、例えば、シーカヤックによる沖縄本島一周活動(8泊9日などの奥深いエコツーリズムを提供している。他方、秘境西表島のマングローブの生える川を猛スピードで疾走するボート体験は、生態系への配慮の点でいかがかと思われるが、いまはまだ各者各様に明らかに異なっている。