第8章 海・漁業体験教室と地域連携
第1項 海・漁業体験教室をどのように地域に結びつけるか
I 地域推進機構として「海・漁業体験教室地域推進クラブ」の発足
地域全体の取り組みをいかに取り付けるか。本事業を実現化するためには、必ずしも利益が一致しない関係者間の合意形成をとることが大切であるが、そのためには合意形成までのオープンな話し合いの過程が重要である。
そして一部の人達だけが利を得ることなく、広く浅い配分計画をすることが肝要で、関係者の歩み寄りと常識的判断、モラルが必要とされる。小さなパイの取り合いよりも、資源・資産の再発見と魅力アップを図かり、需給拡大が必要である。
そこで地域のために献身的にリーダーシップを取ってくれるような情熱と主体性と、行動力溢れる人材によって構成される「海・漁業体験教室地域推進クラブ」といった地域組織を発足させる必要がある。
II クラブの基本理念とその活動
本事業は地域振興の一環として行なうことではあるが、地域活性化の目玉にしていく方法に定石はない。海・漁業体験教室の活動を始める人の数だけ、人々の立場の数だけ、手順や活動項目は変わってくることも現実であり、それが魅力のひとつでもある。
そこで住民が行政と協力して、その任に当たるのが理想的であるが、事業実施後も、商品開発や資源の監視、回復のサイクルをどうするかなど様々な問題が発生してくるため、当初からクラブづくりやリーダーの確立といった地域組織づくりが大切となる。
またその時には、システム開発に企画・設計・開発・運用があるように、海・漁業体験教室にもシステム的な理論構成を築き、応用することが必要である。
海・漁業体験教室の本来の目的は、人間の創造性を生み出すことを助けるためのもの、或いはそれを活かすことにあるため、活動に関わるひと達の工夫と話し合いで創り上げていくことが基本であることは言うまでもない。
特に海・漁業体験教室に参加するひと達は、何らかの形で心の活性化を求めてくると思われる。そこで、地域振興という面で、経済の活性化にだけ目を奪われることなく、地域住民にも参加者にも、みんなが心の活性化に繋がるような活動が求められている。
そこで海・漁業体験教室地域推進クラブの活動に当って、以下のようなことに留意する必要がある。
1] 海・漁業体験教室は、地域固有の文化を守り、継承しながら、地域経済の活性化を図るために有効な経済活動であることを追求し、推進する。
2] 住民自身が地域を知ること。地元の魅力やすばらしさを理解、啓発するための努力をする。例えば、地域の歴史や文化や自然に関する講演会や研修会などに参加し、各種調査などにも積極的に協力する。