また地元のこども達との交流は自然な形で行いたい。例えばキャンプファイヤーや磯遊びなどは自然に入りやすいものである。但し、決して強制参加をさせてはならない。利用者が自主的であるならば、当然地元側の自主性も重視するであろう。
周囲のみんなが気持ちよく、自主的に参加してもらうようにするのは、マリンコーディネーターや海の博士の知恵と工夫、創造性を発揮するところであり、腕の見せ所である。
X 地元の好意と参加者側の思惑が異なることが多い。
地元側の親切心や好意、接待が過剰になったり、裏目に出たりすることがあるので、活動の主旨などを関係者に十分理解してもらうことが必要である。
例えばこども達に対して、自分の家に宿泊した場合などに顕著であるが、こども達に対して地元側は孫のようにかわいがり、食事が豪華であったり、こどもの一寸したルール違反を容認したりしがちで、特に漁業者の場合は、気に入ると接待過剰になりがちである。しかし参加者側は教育(しつけ・自立心の養成など)の期間(機関)だと思っている。この思惑の違いは、互いに好意でやっているだけにやっかいな問題となる。そこでコーディネーターを中心に、関係者がその主旨と行動パターンなどを十分話し合っておかないと、コンセンサスがばらばらになり、長続きしない原因となる。
海・漁業体験教室はこども達にも大人達に対しても、自然の厳しさや楽しみを教え、共感してもらうことにあるので、豪華さを競い、甘やかしただけのサービスでは意味が違うと思われる。
こうした問題の1つに、磯にサザエや鮑のいない時期に撒くようなことが良いか、悪いかというようなこともあるが、自然の状態から遊離した環境は余り創らず、しない方がよい。何故ならこうしたことは、密漁問題を引き起こしたり、残った貝を地元の人が採ったりという形で、結果的に後に尾を引くことがある。あくまでも自然の状態のまま、それを工夫して使うというスタンスを貫くべきである。
XI まず大人が手本を示す。
大人や周囲のひと達によるタバコや缶のポイ捨ては、誰かが見ていようと、見ていまいと好ましくないので慎むべきである。時には地元の日常的生活のあり方の見直しも必要になる。
XII その他
海・海浜における活動は持ち物などにも特色があるため、参加者に十分に周知させる。
水に濡れる体験は、手持ち品も異なってくる。また宿泊は民宿を始め、地元の宿泊施設が基本となるだろうが、環境保全のため通常の宿泊サービス(歯ブラシ、タオル等携帯品や洗面用具ほか)は自前とするのが好ましい。
リスト例としては、上下の下着・上着の着替え・洗面用具・ハンカチ、チリ紙・シャンプー、リンス・帽子・運動靴・腕時計・雨具・カメラ、健康保険証、筆記用具・ガイドブック・リックサック、ウエストポーチなどで、通常の学習とは少し性格が異なることも参加者には周知すべき事柄である。