日本財団 図書館


今後、海洋レクを進めようとした場合には、当事者のみではなく、地域全体への理解を求めつつ、より多くの人達の協力を得ていくことが重要になっていくことと思われる。また事業を始める前には十分な協議や理念、哲学といった社会的正義、公平性が必要となる。

以下、漁業の課題をあげる。

(1) 漁業は天候に左右され、また漁場に到達するまでの時間や網修理など時間的拘束が長く、何よりも仲間との情報交換が必要な職業であることから、漁業者の兼業化はなかなか困難な点がある。従って冬期間や潮流動向などの季節的な場合を除いて、兼業率は極めて低いため、今後は兼業率を高めることが必要となろう。

(2) 漁業は大漁ができるか否かは、洋上に出て操業をしてみないとわからない。そのため遊漁船と漁業専業船とは、同じ仲間から出発しているにも拘らず別れていることが多い。そこで漁業者と遊漁者との共生が可能な方法を考案したい。

(3) これまでイカ釣りツアー等を実施した漁協などでは、漁業専業と漁業体験を比較してどちらが経済的に優位か判別できないという。地元は、役場の要請によりイカ釣り体験をしたところ、希望者が少なくやっと頼んで実現したという。理由は、目的のイカ漁期が同じであるため、通常であれば本業の方が圧倒的に儲かるからである。しかし不漁時期に当たった年には、経費が掛からず、参加者からの固定的収入が入る体験漁業の方が安定していたという。

(4) これまで行われている体験漁業について、現地での十分な意見徴収や整理がなされていないため、いまだ具体的かつ総体的な課題は十分協議整理されていない。

以上、海洋レクと漁業を巡る諸問題を考察したが、相互理解、相互の話し合いが基本であることは言うまでもない。今後は、漁業者側ももう少し積極的にこうした観点に立ち、漁村振興の立ち上げを考える地域が出てきてもよいのではないだろうか。

そこで、ブルーツーリズムを活用した人づくり、組織づくり、場づくりを提唱する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION