第3章 海洋性レクリエーションと水面利用
第1項 法例による利用調整
1 漁業法
(1) 漁業権侵害罪は、親告罪で20万円以下の罰金となる。そのほかにも漁業者側から民法上損害賠償請求が行われた事例がある。漁業権侵害として考えられる内容は以下の通りである。なお水産庁通達(平成5年8月30日付け)では「漁業権は、一定の水面において一定の漁業を一定の期間排他的に営む権利を漁業権者に認めているのであって、水面をあらゆる目的のために排他的独占的に利用することを漁業権者に認めているのでない」としている。
ア、漁業権漁業の操業妨害
イ、漁業権漁場の価値を著しく損ねた場合
(例)PWがノリ漁場内を航走した場合、漁業権漁業や養殖の活動が妨げられれば(操業の妨害、漁獲量の減少等)、漁業権の侵害となる(水産庁通達:平成5年8月30日付け)。
道府県漁業調整規則は、漁業法及び水産資源保護法に基づき各都道府県ごとに定められている規則で、違反した場合10万円以下の罰金、6月以下の懲役、漁船などの没収、価格の追徴などとなる。
(例)・ダイビング中に水産動植物を採捕・・・・・・潜水器漁業の無許可操業
・小さなアワビ、トコブシなどを採捕・・・・・体長制限違反
・禁止期間にアワビ、トコブシなどを採捕・・・禁止期間違反
2 法例2条に基づく「地先権」
古くから慣習として存在する地先水面の漁村による管理の慣習を「地先権」として位置づける考え方。法令2条に「公の秩序または善良の風俗に反しない慣習で、法令の規定によって認めたもの及び法令に規定のない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する」とある。
3 海上衝突予防法
ボードセイリングは、帆船扱いになり、動力漁船は回避義務がある(18条)。
4 船舶法
PWは無灯であるため、小型船舶検査機構の登録内容によって、航走は日没までとなっている。したがって夜間に航行しているPWは違法である。