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2] ボードセイリング事業への参画

ボードセイリングと漁業との調和方策として、前述したような水面利用に関する協定などもあるが、漁業関係者自身がボードセイリング保管事業を行うなどボードセイリングに積極的に関与し、これによって水面利用調整を円滑にしようとする動きもみられる。

鎌倉漁協ではボードセイリングの保管事業を漁協自らが行い、漁協の経営改善に役立てていることは、今後の漁協経営改善方策として注目される。また漁業者自身がボードセイリングの保管事業を行っている事例もある。ただし保管事業は、ダイビング事業のように漁船を使用することがないので、漁協が保管事業を行った場合、漁協組合員には金銭的メリットが生じないという問題がある。

保管事業を行うことのできる地域は、ボードセイリングに適した風を持つ静穏な水面を持ち、海に入るのに適した砂浜(牡蛎殻が多い場所などはケガをしやすいので不適切)や砂浜へのアクセスが可能で、大都市をひかえた(マンション住いなどボードを家に保管する場所が確保しにくい地域)、海水浴場が近いなど見物客の多い地域であることが必要であり、東京近郊でみても三浦半島地域のように、その適地はわずかで、マリーナ事業などに比べるとかなり限定される。そのため地方においては、より限定されてきている。

保管事業を行う際の経営上の留意点は次のようである。

1) 事業に対する初期投資額は極めて僅かであること

例えば鎌倉漁協では、遊休化施設の有効利用という形でボードセイリングの保管事業を開始している。このため、事業に対する初期投資額は極めて僅かである。今後、他の地域でボードセイリングの保管事業を行う場合、経営採算を確保するため、保管場所の土地は漁協所有地か賃貸料が極めて安い土地とし、保管庫などの施設整備に過大な投資を必要としない形の事業の実施が好ましいと考えられる。

2) 保管隻数が確保されるような料金設定

現在、漁業関係者経営マリーナは都市近郊など地域によっては満杯状態である。これは保管施設や付帯施設は他のマリーナに劣るものの、料金設定が他よりかなり安く設定されているためと考えられる。

鎌倉漁協のボードセイリング保管料も周辺より安く設定し、利用者の確保に努めている。今後他の地域で漁協などがボードセイリングの保管事業を行う場合、他の業者と比較し施設やサービスが劣ることも多いと考えられるので、利用者確保の観点から料金設定について慎重に検討する必要があろう。

3) 業務の委託

鎌倉漁協の保管事業は、経営主体は漁協であるものの、その運営はボードセイリングの専門知識を有し、行き届いたサービスが可能な業者に委託をしている。また、ダイビング事業を漁協が自営している事例でも、ダイビング事業のノウハウを有する専門業者に委託したり、人材派遣をしてもらっているのが実態である。したがって他の地域でボードセイリングの保管事業を行うに際しても、漁協に適切な担当者がいない場合は、専門業者に委託する方式も検討すべきであろう。

なお保管事業の経営採算の成否は、業者の経営能力によって大きく左右する。したがって業者の選定にあたっては、その業者の経営能力、漁業への理解度・協力度などを十分検討する必要がある。

4) その他

鎌倉海岸ではボードセイリング大会が年10回程度開催される。レース開催に当たり、主催者は漁協の了解を求めることになっているなど、大会開催時には、漁協や漁業者団体と協議し、関係機関のひとつとして事前申告している場合が多い。今後、新たに大会を開催する地域でも、事前に漁協との協議を行ない、必要に応じて監視・救助を漁船に依頼していくようにすること。

 

 

 

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