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4) 埋め立てなどの残存静穏水域の利用が可能である。

5) 水面係留の保管事業のみを行っているものは、水面係留のみで、地代がほとんどかがらない。

6) 陸上保管を行っているものは、漁協の所有地や県有地を利用している。用地の地代が安価であることなどから、陸上保管用地の利用料が安価である

7) 保管事業以外の事業には、給油事業、水産物販売事業、レストラン事業などがある。漁業関係者経営のマリーナは、一般のマリーナと異なり、保管料だけで採算が取れているものがほとんどであるが、しかもそのうち水面係留のみで採算を維持していることもある。これはこれらのマリーナがもともとの静穏域にあり、建設投資額が極めて少ないことに起因している。

今後、漁業関係者がマリーナを開設するにあたっては、天然の良港、漁港隣接水面の利用など防波堤の整備を必要としない場所を選定することが重要であるが、漁港事業の一貫として国庫補助で防波堤を整備することなど、補助金を利用してマリーナを開設すれば、保管事業だけで採算の取れるマリーナの開設も可能であろう。

なお後背地の人口の少ない地域においては、単に放置艇が多いからといってマリーナを開設しても利用者が確保できるわけではない。このため放置艇の所有者との話合いを行い、利用者確保をしたのちにマリーナの開設をすることが大切である。

無秩序係留船の整理を目的として行うマリーナ開設は、特に重要なことであり、話合い無しにマリーナを開設すると、かえってプレジャーボートを増大させることになりかねない。

一般のマリーナでは保管事業以外に関連事業を行い、収入の増大を図っていくことが経営採算の鍵となるが、漁業関係者の経営するマリーナは、保管事業だけでも採算をとることは可能で、あえてリスクの大きい関連事業を実施する必要はないであろう。

 

(4) まとめ

バブル時代に作られたマンション付きの豪華なマリーナもマンションは売れ残り、マリーナに係留しているヨット・モーターボートもまばらである。時にはマリーナの閉鎖といった風景も見られる。漁業者、特に漁協にとっては、漁業者減少の中で、漁協経営の多角化を図って経営基盤を確立したいという声も多い。そのなかでは、マリーナ経営は魅力的な事業であるという。しがしながらマリーナ事業で採算をとっていくことは容易ではない。特に多額の設備投資を行った場合、事業に失敗すれば漁協経営の破綻を招きかねない。設備投資などのリスクをできるだけ少なくする身軽なマリーナ経営、これが漁業関係者の経営するマリーナの特徴といえる。

 

第4項 ボードセイリングと漁協との関わり

 

(1) ボードセイリングへの対応指針

1] 漁業との調和方策

地元の業者あるいは団体は、漁業者と話合いを行ったり、協定を締結したりして、漁業と調和した水面の利用を行うように努めていることが多い。このため、地元業者の施設を利用している者は、業者がマナー指導を行っていることが多く、水面利用の調整がスムースにいっていることがある。したがって今後は、他の地域においても地元業者あるいは団体と漁業者がこのような話合いや協定締結を行うことが望ましい。

 

 

 

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