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a 多くの場合において、漁協あるいは組合員の収入の増加につながっている。

b 積極型の場合、マリーナの設置が、漁業に及ぼす影響が極めて少ない。

すなわち、漁業が衰退傾向にあったり、漁家経営体の漁業への依存度が低かったり、漁業者の高齢化がみられるなど漁業が活発でない地域、またはその地区の漁業は盛んであっても、マリーナ付近の漁業権が放棄されていたり、水質汚染によって漁業に適さない水面になっていたりする地域では、漁業とのトラブル発生の可能性が少ない地域にマリーナが設置されている。

c 定置網、養殖業、たこつぼ、潜水漁業などが盛んな海域にあっては、プレジャーボートとのトラブルが発生している例が多い。そこで関係者はこうした漁業操業などトラブルについて、プレジャーボート利用者をよく啓発する必要がある。

今後、関係者がマリーナの開設の是非を考えるに当たっては、マリーナはその需要が高いといっても、全国の全ての漁業地区にマリーナを設置することは当然供給過剰となり不可能である。したがってマリーナを導入する地域とそうでない地域との仕分けを県レベルで調整し、地元の漁業者自身が、漁業との共存を図る形でマリーナ需要を満たしていくことが適切と考えられる。

 

(3) マリーナの成立条件

1] 一般的なマリーナの成立条件

現在開設されている民間のマリーナは、全てにおいて採算がとれているわけではなく、特別の条件を満たすものに限って採算がとれている。すなわち、防波堤などの外郭施設の整備を行ったマリーナでは、保管料のみでは採算が合わないことが多く、艇の販売・修理、マリンショップ、レストラン、給油、チャーターヨット、リゾートマンション併設など他の事業の展開により、採算をとっている。ちなみに外国の場合、マリーナの保管料収入の全収入に占める割合は、アメリカで約3割、フランスで約7割となっている。

一方、経費の抑制も採算性確保の重要な要件であり、陸上保管をする場合は地価・地代の負担が少ないことが重要な要件となる。

なお、保管事業だけでマリーナ経営を成立させるためには、天然の良港など外郭施設の整備をしないでも、静穏な水面が確保されていることが必要条件である。

2] 漁業関係者経営マリーナの経営成立条件

漁業関係者の経営するマリーナは、その事業内容から、次のような3つのタイプに類型化される。

1) 水面係留の保管事業のみを行っているもの

2) 陸上保管を主体とした保管事業のみを行っているもの

3) 保管事業以外の事業も行っているもの

なお漁業関係者の経営するマリーナの収支状況については、赤字となっている事例は少ない。そこで各事例の経営採算条件とされていることを整理すると、次のような特徴がある。

1) 防波堤など外郭施設整備が必要ないこと(天然の良港利用である)。

2) 漁港施設の利用が可能である。

3) 漁港隣接水面の利用が可能である。

 

 

 

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