9] 資源管理対策
a 一般レジャーダイバーへの対策
水中観察を目的とした一般レジャーダイバーは先に述べたように、違法に水産動植物を採捕することはほとんどなくなっているが、心無い一部のダイバーが行う密漁を防ぐためには、ダイビングを行う場所を指定するとともに、ダイビングスポットへの案内を漁船で行うようにすることが望ましい。
なお、ダイバー案内船へのダイバーの割当は漁協が調整せず、個々の組合員に任せると、組合員間のダイバー獲得競争によって密漁を誘発することにもなりかねないので、漁協が窓口となって、ダイバー案内の輪番制等を実施することも必要である。
さらに定期的にダイビング業者との懇談会を開催し、両者の意見交換を行うことも資源管理対策上重要である。
b マイボートダイバー等への対策
ダイビング案内船を利用しないマイボートダイバーなどは、指導・監視が困難で、地元組合員とのトラブルが多く発生している。しかしながらこれらのマイボートダイバーなどについては、漁業権漁場の漁業操業に支障がない場合は、地元側が、一方的にこれを排除することには問題がある。したがってマイボートダイバーは、漁業関係者が漁業操業への支障がないよう指導するとともに、不審なダイバーについては水産動植物の違法な採捕が行われないように監視していくことが重要であろう。
また、マイボートダイバーや簡易潜水器を使用したダイバーなど適切な指導・監視が困難なダイバーについては、県レベルでの適切な規制などの対応が必要となろう。
第3項 ヨット・モーターボート等と漁協との関わり
(1) マリーナ事業について
マリーナ事業とは、ヨット・モーターボートなどを、水面或いは陸上に船舶などを保管して保管料などの料金を徴収して収入を得る事業で、その対象となる地域は、静穏な水面を確保でき、しかも人口の多い都会に近い地域である。
事業開始に必要な施設・機器は、防波堤、泊地、岸壁、桟橋、上架施設、陸上保管施設、サービス施設建物などである。
なお、神奈川県、大阪府、山口県などにおいては、漁協が経営に関与するマリーナが存在し、漁協の経営改善に寄与している。
(2) 実施に際しての検討指針
1] 漁業との調和要因
漁業関係者が経営するマリーナの設立経緯をみると、マリーナ設立以前からプレジャーボートを漁港内に係留し、漁業とのトラブルを発生させたため、その対策として設立された場合(トラブル解決型)と、漁業とのトラブルがない地域で、新たに漁協関係者がマリーナを設立したもの(積極型)の2つがあり、漁業との調和の要因については、両者にはかなりの違いがみられる。これらを整理すると次のようになる。