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イ 漁協経営参画型

ダイビング施設整備等の事業は業者にまかせるが、ボンベ貸出事業は漁協自身が行う。

(特徴)漁協がダイビング業者とタイアップして経営に参画する場合、漁協は設備投資などの資本を必要とせずに事業に参画でき、しかも経営のノウハウも必要としないことから、余り収入は多くはないもののリスクを少なくできるという特徴がある。

ウ 漁協組合員自営型

組合員がダイビングサービス施設を整備し、ダイビング事業を行う。ボンベの貸出、宿泊等の陸上施設の提供、ダイバーの案内などを行う。

エ 組合員の経営参画型(ダイバー案内の実施)

ダイビング事業は業者にまかせるが、ダイバー案内は組合員の漁船で行う。このケースには次の2つがある。

a 漁協等調整型 : 案内を漁協が調整して組合員に行わせるもの

b 個別対応型 : 業者と組合員が個別に契約をするもの

オ 漁協・組合員の経営非参画型

漁協など漁業者団体が、漁業協力金を徴収するだけで、組合員も案内業に関与しない。

3] 採算性の検討について

ダイビング事業の採算性は、主にダイビングサービスを利用するダイバーの数に左右される。以下に採算性の検討に必要な項目を示すが、採算性が悪いと思われる場合は、その導入を見合わせるべきである。人気スポットとなり得るかどうか。そのチェックポイントの幾つかを示す。

a 大都市からの距離やアクセスによって大きく左右される。

b 海中景観の良し悪しによって左右される。海中の透明度はもちろん海中の生物、岩礁などの景観や面白いスポットがあるかどうかが鍵となる。

c 天候によってすぐ波が荒くなったり、潮流が激しくなったりするところでは多くを確保できない。

d ダイビング業者の専門誌への広告掲載等のPRのいかんによって、大きく左右される。

e 陸上施設の美しさやサービスによっても左右される。

f ダイビング案内船の美しさやサービスによっても左右される。

4] 自営に必要な資格と業務委託

ボンベの充填・貸出を行うためには、高圧ガス取締り法に基づく「高圧ガス取扱主任者」の資格を有する者が2人必要で、タンクを仕入れて貸し出す場合であっても、法令や規則に従った保管場所を整備し、販売許可を受ける必要があることなどに留意する必要がある。

現在、漁協自営で行われている事例のほとんどは、事業のノウハウの関係からダイビング業者への業務委託や人材の派遣を受けており、こうしたことも検討すべきであろう。

5] 漁業管理と協力金

a 協力金徴収の背景

現在では地先海面を利用する一般のレジャーダイバーは、その多くが水中観察を目的としており、水産動植物を違法に採捕することは少なくなってはいるものの、なかには心無い者も少なくない。また、水産動植物を採捕しなくても潜水海域で何十人、何百人といった多くのダイバーが遊泳することにより、刺し網などの操業に支障が生じたり、魚群が逸散したり、付近の定置網に影響がでたり、初心者の足ひれにより海底が荒されることもある。

このため、地元漁業者集団との調和的な海面利用を図る観点から、契約に基づきダイバーあるいはダイビング業者から、地先海面の漁業振興のための協力金として金銭を漁業者団体が徴収している事例が見られる。

 

 

 

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