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2] ダイビングサービス事業の動向と漁業者側の対応のあり方

一般レジャーダイバーを対象に、施設の提供、ボンベの貸出といったサービスを行うダイビングサービス事業の展開も数多く見られている。これらのダイビングサービス事業には、漁業者や漁協が関与しているものも多く、漁協や漁業者の収入増あるいは経営の改善につながっていることも多い。したがってダイビングサービス事業については、漁業者側からみてもこれを活用すれば魅力ある事業となろう。

a 導入の是非

ダイビングサービス事業を実施することは、必然的に地先漁場をダイバーに使用させることを伴うものであることから、漁業の操業、特に海女漁に支障があるような海域では事業の実施をみあわせることも必要であろう。

しかし一方では、ダイビング事業の導入により、悪質ダイバーの排除ができたとする地域もあり、秩序だった形でのダイビングの導入は、密漁対策にもつながるという報告がある点に留意する必要がある。

いずれにせよダイバーによる漁場の利用と漁業操業との調整が図られた場合は、ダイビングサービス事業の次の事柄に配慮して、事業導入の是非を検討すべきである。

b 事業開始に当たっての留意点

ダイビング業者とタイアップして事業を行う場合は、どのような業者を選定するかが最も重要である。これまでの事例をみても、業者選定のミスによりトラブルを発生させ、訴訟となった事例もあり、第3者から業者評価の聴取を試みるなど細心の注意を払うとともに、試験的にダイビングすることで、問題が生じないか様子を見る方法も検討すべきであろう。

当初から組合員の個別対応を避け、漁協が関与する一貫した対応とすることが必要である。肝心なことは、業者まかせにせず、漁協自身が組合員の同意を得つつ、総会の決議などの手続きを経て、漁協の事業として実施する必要がある。

c ダイビング事業への参画方法

関係者のダイビング事業に関連する収益は、漁協収入としては、ボンベ充填・貸出料、陸上施設利用料、駐車場利用料、ダイビング業者への施設貸出料、漁業協力金、ダイビング案内漁業者からの歩金などがある。

また組合員の収入としては、ダイバー案内による収入、民宿にダイバーが泊まることによる収入などがある。

ダイビング事業への参画にあたっては、どのような収入を得たいのか検討し、次のような参画方法のなかから最も適していると考えられるものを選択する必要がある。

ア 漁協自営型

漁協自身がダイビングサービス施設を整備し、ダイビング事業を経営する。ボンベの貸出、陸上施設や駐車場の提供等による収入がある。

(特徴)漁協自身でダイビング事業を行う場合は収入も大きいが、施設整備に多額の費用が必要となるほか、事故発生時の責任問題もあり、リスクは大きくなる。したがって漁協経営の観点からみると、漁協自営型についてはリスクにおいて問題も多い。また事業の採算性の見通しもしっかりしておく必要がある。

 

 

 

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